エジプト製糖ナローの2箇所目は、南から2番目にあるエトフだ。
訪問したところ、日本製のミツビシが走っていた。厳密には共三工業という会社の製造らしいが、現地の運転手はミツビシ!と言っていた。
訪問日 2023年1月18日
エジプトの砂糖生産について
砂糖生産について2022年のレポートによると「2022/23 の精製糖生産が約 2.5%、つまり 70,000 メートル トン (MT) 増加し、292 万メートル トン (MMT) に達する」とのことで、全く無くなる気配はない。
Egypt: Sugar Annual | USDA Foreign Agricultural Service
エジプト人はチャイが大好きで、飲むときは必ずありえんくらいの砂糖を入れるのだ! チャイのむときに’1 Sugar ‘と僕が注文すると、そんな少なくていいのかという顔をしたり、More sugar?と言ってきたりする。結局ほぼファンタみたいな紅茶を飲むことになるのは間違いない。
ともかくまだしばらくは製糖ナローは廃止されないと思う。
Edfuのさとうきび工場
エドフは、ルクソールとアスワンの中間あたりに位置する。
当工場は、西側の出口、南側の出口の2つがあり、南側の出口はさらに「南」と「東」へレールが伸びていた。つまり大まかに3方向にレールが伸びる。
実際に行ってみた
まず、南側の出口から南へ延びる線路へ行った。エドフ市街地からマルシュを使っていける。
現着したら既に公道上にこれから農地へ行くナローがいた!!
そしてこれは噂で聞いたミツビシではないか!!!
エジプトは国内鉄。
運転手に挨拶したところ、乗せてくれることになった!
エジプト人にしては落ち着きすぎているというかちょっと変わった人だった。
農園へ貨車をバラまいていく。1~2両を少しづつ切り離していく。サトウキビが、ロバや人力で置かれた貨車に詰まれていく。
今回は乗り鉄がメインになったため、走行写真はあまりない。
とはいえエジプトナローに乗るという貴重な体験ができた。
学んだことだが、「乗っている間はおせっかいな地元民や危険なガキに絡まれなくて済む」ということだ。
エジプトナローは沿線撮影でヒヤヒヤしながら(警察でなく、異様に絡んでくる地元民を警戒して) 待つよりも、いっそ乗り鉄した方が気が楽だ。こればかりは運転手の気分次第なので何とも言えない。
「27号機」機関車の中。
メーター類は吹き飛んでいる。
ロッド式の協三工業機関車について
協三工業が1960年頃に28両を製造した、エジプト向け小型液体式17 tディーゼル機関車。軌間600 mm用。同国南部の町エドフに三菱重工が建設した製糖工場の専用線で稼働するもので、ロッド式駆動と開放キャブが特徴的である。製造から60年以上が経過した現在も同地でのさとうきび輸送に稼働中の模様。 pic.twitter.com/QTWb4qYYeN
— Export rolling stock of JP (@export_stock) February 5, 2023
Export rolling stock of JP氏によると1960年ごろ、共三工業が28両製造した小型液体式ディーゼル機関車とのこと。共三工業は福島県にある鉄道車両メーカー。
このエドフの砂糖工場自体が三菱によるものらしい。
実は筆者は訪問時、「日本製だから行こう」という話ではなく、どんなナローだろうと政治家並の断固たる決意で行くつもりだった(それじゃ決意ないだろ)
この機関車は現在珍しいロッド式機関車なのだ!
入替中に外から見ているとぐるぐる車輪が回っている。
僕が見たロッド式機関車が現役だったのは、2018年のブルガリア ソフィア、2021年冬のフロヴディフ、2022年のキルギス、2022年ラトビアくらいだ!
1960年製という60年経過した車体のため、コモンボで見た機関車より明らかにボロボロである。
昼休憩
昼間には機関車は一旦工場に帰っていった。
工場内侵入について
Edfuの運転士は友好的だった。
一方で午前中機関車が工場に戻るとき、少しだけ工場の中まで僕も乗ったのだが門番が「ダメだ帰れ」という事になった。まぁ当然なのだが。
エジプトの製糖ナローは、公道を走っている間はフリーダムだが、工場については真面目に門番が警備している。
別路線(西方向)
昼の間、この工場から西の方向に伸びる線路も現役かどうか確認することにした。
レールは走っている跡があるためこちらも来るだろうと思ったところ、
なんと都合がいい時間に満載した状態で走ってきた!
エジプト製糖ナローは、夕方満載して帰ってくることが多いため、これはラッキー。
なおエジプト製糖ナローは殆どがこの緑で、ドイツ製。三菱は殆どない。
理性がある方のティーンの写真を撮ったり、この辺の人が茶をくれたりして和んでいると、運転士が仕事再開すると言っていた時間を過ぎてしまった。
農場までトゥクトゥクで走った。
午後
製糖ナローは、畑の中であちこちに分岐する。線路が細すぎて航空写真で把握することは困難だ。
機関車に乗っていると「ええ、、そんなところにレールあんのかよ」というくらいだ。
サトウキビの人力積込みが終わっていないようで、1時間くらい休憩した。その間エンジンルームを見せてもらう。
なぜかメルセデスベンツ。
運転席の下のは辛うじて残るミツビシのマーク。
別の分岐へ移動
もう写真を見返していてもどこの分岐だか思い出せない。地球のどっか。
小さな家の横にて。
南国な感じの木が多い。
2台並ぶ姿
僕が乗っていた「27号機」のほかに「18号機」も働いており2台並んでいる姿を撮影出来た。
この機関車(ミツビシ)は空転するらしく、発車時よく砂を撒いている。連結器のカバーのように見える赤い箱は、砂入れである。
参考
エドフ地区のカンダラ地区で、サトウキビ列車の車輪の下で子供が殺され
08-02-2022 22:42(2月8日)
僕は走行中ジャンプして降りて写真撮ったりして危険だとは思っていたが、危険なのは僕だけでなく地元の子供が死んでいるらしい。
おわりに
日本製車両が走っているのはこのEdfuでしか見ていないので、ここはレアだと思う。(筆者がそうなだけで実は他にもある可能性は否定しないが高確率でエトフのみ)
国内鉄の皆様にも必見である。ぜひとも訪問して欲しい。
エドフ行きかた
マルシュの場合
:ルクソールから50EL 現地人は20LE
ルクソール駅の1.5kmほど北にある、長距離用マルシュ乗り場から出発する。
:アスワンから 50LE 現地人は20LE
アスワンの街の北の方にある、長距離用マルシュ乗り場から出発する。
マルシュの運行頻度は非常に高く、10分以内、長くても15分には発車する。
鉄道もあるが、長距離列車は外国人ぼったくり価格があるので利用しづらい。
近郊列車は本数が少ないが走っているので、使えないことは無い。
エドフのホテルについて
MASSA HOTEL は当地に3件あるホテルのうち最も奇麗で高級ホテル。外人ぼったくり価格設定あり。$25 or €25
もっと安いホテルで、
- MEKKAH EDFU
- Horus حورس
というのもあるが、満室と言われた。しかしこんなどうでもいい田舎街で満室などあり得ないと思うので、外国人は最高級ホテルに誘導していると思われる。
おまけ
ロッド式機関車マニアにおすすめ
ソフィア駅のフォルダの中でこいつがマジで意味わかんない pic.twitter.com/uIwhIQL7aF
— 石器時代 (@NsaYamamoto) April 24, 2020
東ドイツ製
キルギスレベルの僻地へ来るとソ連製ロット式機関車とかがいきなり出てくる pic.twitter.com/LnfZq0bqgG
— 石器時代 (@NsaYamamoto) July 16, 2022
ソ連製